Zeichnungen Des Patienten O.T. / EINSTURZENDE NEUBAUTEN

ノイバウテンの登場は衝撃的でした。
といっても、デビュー作のKOLAAPSは入手が難しく、初めて聞いたのは本作の邦盤でした。
まさか日本盤が出るとは思っていなかったので、容易に入手できることは嬉しかったのですが、すでに有名になって大衆音楽になってしまったような感じがして、それはそれで少し嫌な感じでした。
ブリクサの容姿とセンセーショナルな音楽が一躍スターダムにのし上げてしまったような感じがして、しかもそのあと、すぐに石井聰亙監督とコラボしてMVまで作成して、商業路線真っただ中だなあ、と生意気にも思ったりしたものでした。
しかし、本作のタイトルも音も正統派ノイズ(!!)で、今でも好きな作品のひとつです。
この音はどう考えても商業路線ではないです。
当時はメタルパーカッションが人気で、TEST DEPT. やFOETUSなどもメタルパーカッションで人気が出たのではないでしょうか。
最たるものはDEPECHE MODEということになるのだと思いますが、それに対抗するかのようなKMFDMがいたりして、面白い時代でした。
ノイバウテンといえば、メタルパーカッション!というほど、ジャンクを楽器代わりにするバンドの先頭を走っていたように思います。
ブリクサは、古タイヤから作ったラバーのベストを着ているという記事を読み、音も着るものもジャンクで、ドイツのノイバウテンと日本のハナタラシがジャンクミュージックの双璧と思っていました。
ブリクサはその後、Nick Cave & The Bad Seedsのギターに参加するという、意外な方向にかじを切ったりしましたが、Bad Seedsでもギターというより、ノイズとビジュアル担当として活躍しておりました。
90年代にノイバウテンとNick Caveのそれぞれのライブで、ブリクサのライブパフォーマンスを見ることができましたが、往年の危険の感じは、だいぶなりを潜めていたように思われました。
それでも十分にカッコ良かったですが…。
ジャンルは全く異なりますが、BLACK FLAGのヘンリーロリンズもノイバウテン好きで、ノイバウテンのシンボルである、ひとつ目人間の入れ墨をしているのをみて、これだけ幅広い層に受け入れられたノイズバンドも稀有な存在でしょう。