Kühe In 1/2 Trauer / P16.D4


P16.D4を初めて知ったのは、雑誌Fools Mateの中で紹介されていたことによります。
そのバンド名とアルバムタイトルの不思議さと、アルバムジャケットの現代アート的な美しさに心が奪われました。
しかし、このアルバムも、他の名作ノイズアルバムと同様で、発売された当初は入手が困難で、高値で取引され、聴くことができないでおりました。
ようやく1994年になって、フランスのODD SIDEというフランスのレーベルからCDが再発され、入手ができるようになりました。
アルバムタイトルはドイツ語ですが、訳すると「半分喪に服した牛たち」で合っているでしょうか…?
なおバンド名が Progressive Disco という単語の略称であること、16と4はPとDのアルファベットでのAからの順位を表しているらしいことは最近になって知りました
(ノイズミュージシャンのK2のブログで知りました)。
Fools Mateや銀星俱楽部などで書かれていた文章から構成されている、MERZBOWの秋田昌美さんの名著『ノイズ・ウォー』にもP16.D4について多くページを割いています。
特にP.16D4がエキスチェンジド・ミュージックによる音の交換、そして破壊と再構築を試みていたことなどが、ポストモダニズムの考えに沿って、説明されております。
本作は、P.16D4が商業路線の音楽やスロッビンググリッスルが試みた世界とは一線を画した、実験音楽の延長線の系譜にある作品として存在しております。
音楽はCDやレコードなどの媒体を通じて、音とジャケットアート、そして演奏を含むライブパフォーマンスにより、ひとつの総合芸術の様相を呈しているが、そこに音の作製過程も芸術の中に組み込んだともいえるのではないでしょうか。
40年近く前の作品とはいえ、現在でも、その崇高な考えに基づく音の展開に感心してしまいます。