King Of Noise / Hijokaidan


日本のノイズをそろそろ登場させても良いころと思いましたが、日本のノイズミュージシャンは粒ぞろいですので、どれを最初に選ぶべきか、とても悩むところです。
どれを選んでも正解のような気がしますが、日本のノイズの始祖であり、頂点であるのが、非常階段と思いますので紹介いたします。
しかも非常階段の中で、どのアルバムを選ぶかがこれまた迷うところで、発売当時、買いそびれてしまい、ものすごく後悔した本作としました。
ほぼ同時期にハナタラシの1STも出て、レコード店に本作と一緒に並んでいたのを覚えておりますが、どちらも買わず、今思い返しても、どうして買わなかったのかと思います。

非常階段を初めて聞いたのは、『Tapes』になりますが、『Tapes』の前に出た本作もどちらもハーシュノイズの名作です。
特にドラムが入った曲は、非常に迫力があり、フリーキーさが全開となっており、スピード感があります。

ノイズはどれも大音量で聴いてほしいです。
それは全身で音の圧力を感じることができるからです。
非常階段のライブをみて、つくづくそれを感じました。
ライブでのセンセーショナルな話題が多く、そこがこのバンドの偉大さを増幅させておりますが、やはり音を圧力で感じることができることが、非常階段の素晴らしさだと思っています。
1990年代によくライブに行きましたが、いつ見ても同じように体感できる音圧の激しさが、このバンドのライブにはあります。
当時はMERZBOWの秋田昌美がドラムを担当しており、その狂気な迫力が押し迫ってきます。
JUNKOのスクリーミング・ボーカルとT.美川の痙攣(けいれん)のような動作と攻撃的なエフェクターさばき、そしてJOJO広重がギターをかき鳴らし、最後はギターもなしに叫びまくる展開に、ライブ終了後には毎回虚脱状態になっておりました。
その頃はインキャパシタンツの小堺文雄も一緒に演奏することもあり、画角的にも迫力がありました…。

本作も大音量で音圧を感じながら聞きたいところですが、そのような環境はなかなかできないので、せめてヘッドホンを付けて、大音量で聴くことができれば、非常階段をリアルに体験できると思います。