Changez Les Blockeurs / THE NEW BLOCKADERS


ニューブッロケイダーズ(以下、TNB)はどれも名作ですが、やはり1stの本作が好きです。
延々と何かをしているように聞こえるのですが、何をしているのかわかりません。
ものを引っ張っているような、ひきずっているような音が延々と繰り返されます。

TNBは、エフェクターの操作で音を作るのではなく、ものから直接音を出し、音のコラージュを作る感じが良いです。
エフェクターを使用した暴力的な音作りもそれはそれでよいですが、コラージュを延々とおこなうというの好きです。
意味がなさ過ぎて。

この意味がないというのが、TNBのテーマのひとつではないだろうかと勝手に推測しております。
TNBの作る音塊には、ボーカルはありません。
ひたすらにものから音を作り出していきます。
その過程がとても面白く感じるのです。

他のアルバムで聴くことのできる暴力的なまでのホワイトノイズが疾走する感じも、とても好きなのですが、この「もの」から生み出される音の塊も無意味な感じがして、反逆心を感じます。
そこがカッコ良いのです。

2003年にイギリスのLEEDSで行われたライブを観たことがあります。
TNBはそれまでほとんどライブはやっていなかったと思います。
このためライブの案内が出た時は、LEEDSというロンドンからだいぶ離れた場所でしたが、喜び勇んで見に行きました。
COM-DOMやGREY WOLVES, ANOMALIも出演したNOISE FESTIVALの大トリでTNBが登場。
スーツ姿にストッキングのような覆面をして、3人が登場し、ひたすらガムテープのようなものをクシャクシャにしたり、それを開いたりした音をマイクで拾うという不思議なライブでした。
YouTubeで見られる、その後のライブのような暴力的な感じでもなく、エフェクターの操作があるわけでもなく、まさに本作のような音作りが、延々と繰り返されてました。
当然、3人もいる必要はなく、交代で前を向いて椅子に座って、何もしないということが繰り返されました。
Nothing…という言葉がぴたりと当てはまるライブで、本作も同様な雰囲気が醸し出されています。
まるで現代芸術のパフォーマンスのような趣ですが、それは彼らが最も嫌うもののように思います。
それを意図して行っているのかどうか、そんなことを考えながら、時が過ぎていきました。

このライブのレポートを、ひょんなことから『電子雑音』を発行していた田野さん(MSBR)から同雑誌の寄稿を頼まれ、写真とともに掲載頂きました。
その後、田野さんは残念なことに早逝されてしまいましたが、TNBを聴くと、田野さんのことを思い出され、虚無を感じるのは偶然ではないように思います。