Tissue Of Lies / NOCTURNAL EMMISSIONS


ノクターナルエミッションズ(NE)による本作は、1981年にNE自身のレーベルであるSterile Recordsから出されました。
くぐもったイメージがいくつも重なるように、音が積み重ねられていく。
そのようなイメージが想起させられる音が次々と展開していきます。

NEを最初に聴いたのは、『Shake Those Chains Rattle Those Cages』でしたが、意外にもダンサブルな感じの曲があり、雑誌Fools Mateで得ていたNEの作品内容とだいぶ異なっていました。
しかし本作を聴いて、NEの低力を知りました。
Sterile Recordsの後、Earthly Delightというレーベルを設立し、そこから作品を発表するようになりました。

1999年にロンドンで一度だけライブを見たことがあります。
NEであるナイジェルエアーズがひとり登場しました。
ステージには精子模様のテーブルクロスを敷いた台にシンプルなモジュラーのような小さい機械が置いてあり、そこからはシンプルな音楽が流れます。
その周りで、ナイジェルが歌い、のたうちまわるという想定外の動きで、どちらかというアートパフォーマンスといった感じで、みんな体育座りしながら聞いてました。
観客は数十人でしたが、想定していたのは、NEの作品群から聞ける機械の山から流れるドローンな音やリズムだと思いますが、見事にそれが裏切られたライブでした。
トイレで観客が「失望したよ」と言っておりましたが、NEはもともとスロビンググリッスルやSPKのようなハードな音を通して、ハードなメッセージを伝えるグループではなく、研ぎ澄まされた感覚やイメージを、作品を通して伝えるグループなのではないかと思いました。
パフォーマンスのようなライブも、当時のNEが持っていたイメージを伝えるアクションだったのでしょう。
それはそれでNEらしいと感じました。

なおSterile Recordsからは、M.B.のSymphoney for A Genocideなど出されるアルバムはどれも秀逸でした。
Earthly Delightになってからは、NEやナイジェルエアーズ関連の作品のみが出されております。