Chance Meeting On A Dissecting Table Of A Sewing Machine And An Umbrella / NURSE WITH WOUND


ナースウイズウーンド(NWW)は、ノイズの中でも特に洗練された才能を見せていると思います。
ノイズミュージシャンの多くは、素晴らしい才能の持っていると確信しておりますが、NWWは特にアート寄りに位置しているように感じします。
恐らくNWWはアートに対する考えとは、別の次元もしくは対極的なところで活動されているのだと思いますが、その音、タイトル、曲名、ジャケットの全てから丁寧なコンセプトに基づいていると思わせるものがあります。
それが何かを説明できるほど、NWWを理解しているわけではありませんが、NWWの膨大な作品群に触れているうちに、そう思うようになりました。

NWWというと、音のコラージュといえるほど、多様な音を使って、音楽を展開します。
ノイズミュージックによくあるどのようにして音を作るのかということを、NWWの作品を聴くと、よく考えさせられます。
また長年活動している割には、その存在があまり明らかになっていなかったため、とてもミステリアスな印象を与え、それが更に興味を引く原因にもなったのではないかと思います。
最近は、YouTubeにもインタビューや演奏している映像もアップされ、またNWWに関する本も出版され、そのイメージが明確になってきている印象があります。

NWWはCURRENT93と活動を共にすることが多く、初期の頃はNWWが主催するUnited Dairiesレーベルから、CURRENT93のアルバムを出すこともありました。
アルバムもCURRENT93と共同で出したり、CURRENT93のライブに参加することもあったようです。
このため、CURRENT93の初期の作品と似たようなドローンな音楽を製作することもありましたが、本作はドローン的な音だけではなく、NWW特有の音のコラージュが多用されています。
本作は、現在聴いてもユニークな音作りと感じますので、当時としてはかなり画期的な音作りだったのではないかと思います。

本作以降もパターンを変えて、精力的に作品を作り続けており、最近もTNBの1STアルバムを再構築するなど、その活動に目を離すことができません。